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中性原子方式の量子コンピューター稼働へ─世界水準の性能で巻き返し‗【国内初の方式‗分子研や日立】

ついに日本でも、世界トップ水準の性能を持つ量子コンピューター
が稼働します。分子科学研究所(分子研)と日立製作所などが
共同で開発するこの新型量子計算機は、2025年度中に稼働予定で、
日本国内初となる「中性原子方式」を採用します。

Googleなど海外の先行企業が超電導方式を用いた実機開発で
リードしてきた中、日本も量子技術の本格的な産業応用を視野に入れ、
巻き返しに動き出しました。この記事では、日本が進める
量子コンピューター開発の現状と可能性を、段階的に整理して紹介します。


中性原子方式で挑む:日本独自のアプローチ

今回稼働する量子コンピューターが採用する「中性原子方式」は、
計算に用いる量子ビット(qubit)を一つひとつの原子で構成する
仕組みです。この方式の大きな特長は、量子ビットの安定性が高く、
拡張性にも優れること
。大量の量子ビットを安定して並列処理
することで、大規模な計算に向いているとされます。

実際、分子研の新型量子コンピューターは、まず50量子ビット
での稼働を予定しており、将来的には500量子ビット規模への
拡大を計画しています。さらに分子研の大森賢治教授は
遅くとも30年後には1万量子ビット規模にし、社会問題の
解決に役立つ実用的な量子コンピューターを作る
」と語っており、
日本の長期的な技術的野心がうかがえます(日本経済新聞 2025年3月1日)。


産業応用へ前進:エネルギー、創薬、金融など多分野に展開

中性原子方式による量子計算機は、分子研が立地する愛知県岡崎市
に設置されます。開発には、量子制御装置を手がけるベンチャー企業
キュエル(東京都八王子市)や大阪大学なども参加し、
産学連携のプロジェクトとして進行しています。

この量子計算機は、今後、企業や研究機関と共同研究契約を
結んだうえで外部利用にも開放する方針で、産業応用が一気に
加速する可能性を秘めています。期待される応用分野は
多岐にわたり、以下のような例が挙げられます:

  • 次世代電池材料の開発(脱炭素への貢献)

  • 新薬の創出(分子シミュレーションによる創薬の効率化)

  • 金融モデルの最適化

  • 自動車・機械分野における設計の高速化

これらは、従来のコンピューターでは処理が困難だった、
膨大かつ複雑な計算を短時間で実行できる量子計算機ならではの強みです。


海外勢との競争:超電導 vs. 中性原子 vs. 張電子

量子コンピューターには複数の方式があり、それぞれに長所と
課題があります。たとえば、米Googleは超電導方式を採用し、
すでに特定の演算でスーパーコンピューターを上回る性能を
実証したと発表しています(Nature, 2019年)。ただし、
実用的な計算において既存のコンピューターを
超えた方式は未だ存在していません

一方、日本国内では「張電子方式」の開発も進展しています。
富士通は従来の4倍の規模となる256量子ビットの張電子方式の
量子計算機を2025年3月に稼働させ、
2026年には1000量子ビット超を目指しています。

このように、日本国内でも複数の方式で並行して開発が
進んでいる
ことは、日本の大きな強みでもあり、
「本命がまだ定まらない中で、開発競争を優位に進める
原動力となる」と日経記事は評価しています。


日本の研究ポジションと世界市場の可能性

量子コンピューター分野の研究は、米国が圧倒的にリード
しており、日本はまだキャッチアップの段階です。エルゼビアの
データベースを用いた注目論文の国別集計によると、
2019〜2023年の論文数で日本は世界第9位にとどまっています。

ただし、今後の市場の拡大は巨大です
米ボストン・コンサルティング・グループの試算によれば、
2040年には量子コンピューター関連市場の経済価値が最大
8500億ドル(約128兆円)に達する
と予測されています。

この見通しを背景に、富士通・NECなどの大手14社と
大学・研究機関が連携し、2025年3月末までに新会社を
立ち上げる計画
も進んでおり、産業界と学術界が一体
となった量子技術の推進体制が構築されつつあります。


まとめ:巻き返しに向けた日本の挑戦

日本初となる中性原子方式の量子コンピューターの稼働は、
世界における量子開発競争に対して明確な巻き返しの一歩
となります。複数方式でのアプローチや産学官の連携など、
日本独自の強みを活かす体制が整いつつあります。

「本命不在」の量子コンピューター開発競争において、
日本がいかに技術と実用性の両面で存在感を示せるか。
その行方は、今後の社会・産業の構造すら変える可能性を秘めています。

以上、間違い・ご意見は
以下アドレスまでお願いします。
問題点に対しては
適時、返信・改定をします。

nowkouji226@gmail.com

2025/05/22‗初稿投稿
2026/04/24_改訂投稿

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