セシル パウエル
【素粒子の軌跡を記録する方法 を改良|アンデス山脈でπ中間子を観測】

世界の発見
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【1903年12月5日生まれ ~ 1969年8月9日没】


【写真引用:Wikipedia Commons】

パウエルとハイゼンベルグとゾンマーフェルト

単なる偶然とも言えますが、今回紹介するセシル・パウエル、
量子力学の創始者ヴェルナー・ハイゼンベルク、そして
その師アルノルト・ゾンマーフェルトは、いずれも12月5日生まれ
という興味深い一致があります。また同様に

西川 正治も同じ誕生日でした。
(別の分野ではウォルトディズニー、小林幸子

さて、
今回の紹介は英国のセシル パウエルです。

素粒子の軌跡を記録する方法
を改良しました。

つまり、

Photographic Emulsionsの中での粒子軌跡を

直接記録する方法を採用したのです。

当時は未知なる粒子が次々と発見され様々に予想
されていたのですが、
観測手段も試行錯誤されていました。
例えば、霧箱で飛んでくる粒子の軌跡を捉えたり、
高い山の上で観測して飛来宇宙線の大気減衰を克服したり
写真技術を活用したりしました。

パウエルの手法は写真のイメージから考えるのでしょうか。
そもそも、
博士課程の指導教員が霧箱の実験で有名なウィルソンと
ラザフォードなのです。基本は感光のイメージですね。
もっとも一般的には「Geltin silver process(Wikipedia:銀塩写真)」。

写真乾板が「見えない粒子」を記録した

セシル・パウエルの研究を理解するうえで重要なのが、
写真乾板(写真乳剤)を使って粒子の飛跡を記録する方法です。

当時の素粒子物理学では、目で見ることのできない粒子を
どのように観測するのかが大きな問題でした。

そこで利用されたのが、宇宙線です。

宇宙から地球へ飛来する高エネルギー粒子は、
大気中の原子核と衝突することで、さらに多くの粒子を生み出します。
つまり宇宙そのものが、天然の「粒子実験場」になっていたのです。

パウエルは写真乾板を利用して、
こうした粒子が通過した痕跡を記録しました。

写真乾板の中を荷電粒子が通過すると、
その経路に沿って写真乳剤が変化します。
現像した乾板を詳しく調べることで、
肉眼では直接見ることのできない粒子の飛跡を
後から解析できるのです。

この方法の大きな特徴は、
粒子がどこを通ったのかを「画像」として残せることでした。

現在の大型加速器実験では電子的な検出器が活躍していますが、
パウエルの時代には写真乾板が素粒子を追跡する重要な手段だったのです。

CERNの解説でも、核乳剤は1950年代に雲箱と並ぶ主要な高エネルギー粒子検出法であり、
後のミュー粒子やパイ中間子の発見にも使われたことが紹介されています。
CERNの粒子検出器解説も参考になります。

そして、この「飛跡を画像として残す」という実験手法が、
理論上予言されていた新しい粒子を現実の世界から見つけ出すことにつながりました。

 

パウエルの研究の意義

パウエルの研究が特に重要だったのは、加速器がまだ十分に発達
していない時代において、宇宙線そのものを「天然の粒子加速器」
として利用した点にあります。高エネルギー粒子は宇宙空間で
自然に生成され地球へ降り注いでおり、研究者はそれを捉えることで
素粒子物理学を前進させました。写真乾板法は長時間露光によって
微細な粒子の飛跡を永久記録できるという利点を持ち、後から詳細解析が可能でした。

この手法によりπ中間子からμ粒子への崩壊過程が明確に確認され、
理論物理学者・湯川秀樹の中間子理論を決定的に裏付ける証拠となります。
観測技術の改良が理論の検証を導いた好例であり、
実験物理学の力を象徴する成果でした。

 パウエルによるπ中間子の観測

パウエルの研究を語るうえで欠かせない人物が、
日本の理論物理学者湯川秀樹です。

湯川は1935年、原子核を結び付ける力を説明するために
新しい粒子の存在を理論的に予言しました。
後に「π中間子(パイ中間子)」と呼ばれる粒子です。

そして1947年、セシル・パウエルらの宇宙線研究によって、
この理論と関係する粒子の存在が実験的に明らかになりました。

つまり、ここには非常に興味深い
「理論による予言」と「実験による発見」
という物理学の基本的な関係があります。

理論を作った湯川秀樹と、
それを実験によって検証する役割を果たしたパウエル。

この二人を続けて読むことで、
20世紀の素粒子物理学がどのように発展したのかが見えてきます。

生成後の寿命が短く地表に到達できないパイ中間子観測の為に
ボリビアにあるアンデス山脈の
標高5000mの山から
上記乾板を使って発見
しています。

ダイナミックな観測だったと言えるでしょう。
加えて、気球を使い
高度を確保したりもしています。
観測の為に様々な工夫をこらして結果を得ています。

この分野の物理学者

 

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2020/12/15_初稿投稿
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(2021年11月時点での対応英訳)

Powell, Heisenberg and Sommerfeld

It’s just a coincidence, but C. Powell, Heisenberg, and Sommerfeld have the same birthday. Similarly, Shoji Nishikawa had the same birthday.

By the way, this time I would like to introduce you to Cecil Powell in the United Kingdom. The method of recording the trajectory of elementary particles has been improved. In other words, we adopted the method of directly recording the particle trajectory in Photographic Emulsions. At that time, unknown particles were discovered one after another and various expectations were made, but the observation method was also trial and error. For example, we captured the trajectory of particles flying in a cloud chamber, observed them on a high mountain to overcome the atmospheric attenuation of flying cosmic rays, and used photographic technology. Do you think of Powell’s method from the image of a photograph? I will check further if there is an opportunity.

Observation of pions by Powell

Powell also dispatches research staff to observe and discover the pions predicted by Hideki Yukawa. It has been discovered using the above-mentioned dry plate from a mountain at an altitude of 5000 m in the Andes Mountains in Bolivia for the purpose of observing pions that have a short life after formation and cannot reach the surface of the earth. It can be said that it was a dynamic observation. In addition, we also use balloons to secure altitude. We have obtained results by making various efforts for observation.