P・アンダーソン
【”More is different”と語った物性論の大家】

メゾスコピック系
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1923年12月13日生まれ ~ 2020年3月29日没


【出典:Wikimedia Commons‗フィリップ・W・アンダーソン】

 物性論の大物、アンダーソン博士

その名の綴りは”Philip Warren Anderson”。

物性研究で有名なアンダーソン博士をご紹介します。

所属研究機関はハーバード大で学びベル研・ケンブリッジ大・
プリンストン大で勤務しました。米国・英国の綺羅星が並びます。
素晴らしい研究人生です。

アンダーソンの研究で先ず思いつくものは
アンダーソン局在です。

無秩序系における電子の基本的な性格で、物性論の一つの基礎原理
になっています。その理論では電子が実空間上で局在した状態は
非局在の状態と明らかに異なりエネルギー的に区別されます。

 アンダーソンと磁性

当たり前ですが、超伝導で議論される運動量空間(k空間)の議論と、
実空間におけるアンダーソン局在とは区別して考える必要があります。
アンダーソン局在では電子が空間的に局在するので、
電気伝導について考えた時に
「固体中の電子が電導に寄与しなくなる」という事実が大事です。
導体が不導体に近づいていくのです。

更にアンダーソンは、長さ・時間のスケールを変換する理論を
スケーリング理論として展開して理論を発展させたのです。

また、磁性を紐解く解釈も行っています。
こういった業績を評価され、アンダーソンは
ノーベル物理学賞を受賞しています。

“More is different”という思想

フィリップ・W・アンダーソンは1972年に有名な論文
More Is Differentを発表しました。この論文の主張は
非常にシンプルですが、深い意味を持っています。

それは

「要素が増えると、全く新しい性質が現れる」

という考えです。例えば、水分子一つには「濡れる」という性質は
ありません。しかし無数の水分子が集まると
「液体」という性質が生まれます同様に、電子一つ原子一つでは
説明できない現象が、多数の粒子が集まることで突然現れるのです。

この考え方は現在物性物理、複雑系科学、生物物理など多くの
分野に影響を与えています。つまりアンダーソンは

「複雑な世界を理解する新しい科学の視点」

を提示したとも言えるのです。

アンダーソンの研究――局在から「More is Different」へ

アンダーソンの研究を一つの流れとして見ると、
「電子一個の振る舞い」と「多数の粒子が集まったときに現れる性質」を
どのように結びつけるか、という問題が見えてきます。

代表的な研究の一つがアンダーソン局在です。物質の中に
無秩序が存在すると、電子の波動関数が空間的に広がらず、
局在した状態になることがあります。電子が自由に広がって
電気伝導に寄与する場合とは異なり、無秩序によって
電子の移動が抑えられるという現象です。

この研究は単に「電子が止まる」という話ではありません。物質中の無秩序が、
電子の量子力学的な状態や電気伝導を大きく変えることを示した点に
意味があります。アンダーソンはその後、局在の問題をスケールの変化から考える
スケーリング理論へと発展させ、無秩序系の相転移を理解する道を開きました。

そして、アンダーソンの物理学を理解するうえでもう一つ重要なのが、1972年の論文「More Is Different」です。

ここでアンダーソンが示したのは、自然界を構成する要素を一つずつ詳しく調べるだけでは、集合体として現れる現象をすべて説明できるとは限らない、という考え方です。

例えば、水分子一個に「液体としての水」の性質がそのまま存在するわけではありません。多数の分子が集まり、相互作用することで、個々の分子だけを見ていたのでは現れない性質が現れます。

このような創発の考え方は、物性物理学を考えるうえで重要です。電子や原子という個々の構成要素を理解するだけでなく、それらが多数集まったときにどのような秩序や性質が現れるのかを考える必要があるからです。

アンダーソン自身の研究も、この視点とよく結びついています。磁性、超伝導、無秩序系など、個々の電子だけでは説明しにくい現象を、集団としての物質の性質から考えていきました。

さらに1980年代には、銅酸化物の高温超伝導をめぐってRVB理論(resonating valence bond theory)を提案しました。これは強く相関した電子系におけるスピンの状態から高温超伝導を理解しようとする理論的アプローチの一つです。現在も高温超伝導をめぐる研究の中で議論されています。

こうして見ると、アンダーソンの研究は、単に「局在を発見した」「超伝導を研究した」という個別の業績の集まりではありません。

電子の局在というミクロな問題から、多数の粒子が集まって新しい性質を生み出す物性の世界へ。

この「多く集まることで、何が変わるのか」という問いが、アンダーソンの物理学を理解する一つの鍵になるのです。


また、アンダーソンは高温超伝導理論にも大きな影響を与えました。
特にRV B理論は現在も議論されています。


アンダーソンの重要な研究はベル研究所で行われました。
ベル研はトランジスタ、レーザー、情報理論などを生み出した
研究機関です。

アンダーソンの足跡

またアンダーソンは 東京大学から名誉博士号を贈られています。
その記念として物性研で記念植樹されていたようですが、
赤坂・防衛省の近くでしょうか。柏でしょうか。
何時か見に行きたいと思います。

最後にもう一度、アンダーソンの
残した言葉を一つご紹介します。

”More is different”

アンダーソンは多様性の中から秩序を拾い出していました。皆さんも多様性に怯まないで下さい。寧ろ、多様性の中で
逍遥する心持で複雑怪奇の中で物事の本質を探って下さい。

数学的な手法に拘って、何度も検算を繰り返してみても良い
と思えます。数学はあくまで現実のモデル化なのですが、
本質に近いことが多いです。また、
別解を探してみると面白いかもしれません。

少しでも多くの手法で考え続けて下さい。私も励みます。

関連する物理学者(前後の流れ)

◀ 前の人物:ジョン・バーディーン

▶ 次の人物:久保亮五

この分野の物理学者(物性物理学・超伝導・磁性)

超伝導からアンダーソンへ

オネスによる超伝導現象の発見、
バーディーン・
クーパーらによるBCS理論、
そしてアンダーソンによる超伝導・磁性研究へとたどることで、
低温物理学から物性物理学へ広がる研究の流れを見ることができます。

物性物理学から統計力学へ

物質の集団的な振る舞いを理解するという視点では、
久保亮五の線形応答理論とも接点があります。
アンダーソンが「多数の構成要素から新しい性質が現れる」ことを考えたのに対し、
久保は外部からの小さな摂動に対する物質の応答を統計力学から記述しました。

20世紀の物理学者として

フィリップ・W・アンダーソンは1923年生まれで、
20世紀の物理学者
の流れから見ても重要な位置にあります。
研究分野だけでなく、同時代の物理学者との関係から眺めることで、
20世紀後半の物性物理学の発展を追うことができます。

 

〆
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以上、間違い・ご意見は
以下アドレスまでお願いします。
最近全て返事が出来ていませんが
全て読んでいます。
適時、改定をします。

nowkouji226@gmail.com

2020/11/03_初稿投稿
2026/10/04_改定投稿

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AIでの考察(参考)

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(2021年11月時点での対応英訳)

Dr. Anderson, a big figure in condensed matter theory

The spelling of the name is “Philip Warren Anderson”. Introducing Dr. Anderson, who is famous for his research on physical properties. As his research institute, he studied at Harvard University and worked at Bell Labs, Cambridge University, and Princeton University. He is lined with Great Britain in the United States and Britain. He has a wonderful research life.

The first thing that comes to mind in Anderson’s research is Anderson localization. It is the basic character of electrons in a chaotic system, and is one of the basic principles of condensed matter physics. According to the theory, the state in which electrons are localized in real space is clearly different from the delocalized state and is energetically distinguished.

Anderson and magnetism

Obviously, it must be clearly distinguished from the localization in topological space mentioned in the story of superconductivity. In Anderson localization, electrons are spatially localized, so the fact that “electrons in a solid no longer contribute to the Hall of Fame” is important when considering electrical conduction. The conductor is getting closer to the non-conductor.

In addition, Anderson developed his theory by developing the theory of transforming the scale of length and time as a scaling theory.

He also interprets magnetism. In recognition of his achievements, Anderson has won the Nobel Prize in Physics.

According to one study, Anderson is positioned as the “most creative physicist” in the world, judging by the frequency of his dissertation citations.

Anderson has received an honorary doctorate from the University of Tokyo. It seems that a commemorative tree was planted at the Institute for Solid State Physics as a memorial, but is it near the Akasaka Ministry of Defense? Is it Kashiwa? I would like to go see it someday.

Finally, Anderson’s
I would like to introduce one word he left behind.

“More is different”

Anderson was picking order out of diversity. Don’t be scared of diversity. Rather, explore the essence of things in a complex mystery with a feeling of wandering in diversity. I think it’s okay to repeat the checkup many times, regardless of the mathematical method. Mathematics is just a modeling of reality, but it is often close to the essence. Also, it may be interesting to look for another solution. Keep thinking in as many ways as you can. I also encourage you.