パリの夕暮れ

ピエール・ラプラス

【1749年3月23日生まれ~1827年3月5日没】

_

ピエール=シモン・ラプラス(Pierre-Simon Laplace)です。
ラプラスはフランスに生まれ先進的な議論を進めました。当時としては画期的な「天体力学概論」と「確率論の解析理論」という著書を残しています。この原稿では特に「ラプラスの悪魔」と呼ばれた考え方に着目します。

ラプラスは決定論者です。将来的に起こる全ての現象は、その現象に繋がる以前の現象に起因すると考えます。それだから「特定の時間の宇宙の全ての粒子(原子と考えて良いです)の運動状態が分かれば、これから起きる全ての現象は予め計算出来る」という論理なのです。それを全て理解している空想上の存在を「ラプラスの悪魔」と想定しました。後々の我々の考え方で悪魔を考えていくと難題が幾つも出てきます。単純化の為に原子の重心のような物だけを考えて、それらが相互作用する状況を考えてみた所で無意味ではないのでしょうか。原子は生成消滅していますし、原子間を介在するフォトンとかフォノンとかいった準粒子が原子の間で介在して相互作用するからです。「ラプラスの悪魔」この考え方は決定論のなかでも特に、未来は一意的に決定的であるとする「因果的決定論」に従っています。

結局、ラプラスの没後に確立された量子論での認識形式を取り入れた時点でラプラスの「悪魔の議論」は無意味にも思えます。単純に悪魔の描く姿を当てはめた所で現実との相関がとれず机上の空論の感が否めません。コペンハーゲン解釈が正しいとする時点で「悪魔の議論」は成り立たないとする批判もありました。観測が量子力学の制限を受ける中で厳密解釈を成り立たせてしまうと、仮定が限りなく多くなるのです。結局のところ「ラプラスの悪魔」とは、「ある瞬間での全ての構成原子達の力学的状態と相互間に働く力を知る事が出来たとしたら、かつ仮に全てのデータ(パラメター)を解析出来る能力を備えた知性」が世の中に居たとしたら、、という仮定のもとに進められた議論だったのです。そこから話を広めてあらゆる因果律の決定した姿を見通せる「悪魔」のような「ずる賢い存在」を考えたりもしました。話が独り歩きした後は、もはや「原子の議論」よりも「分からない話」を挟んで「不可解な結論出す議論」を不快に思う気分と雰囲気だけが残るかと思えます。

ただ、こんなご紹介をしてしましましたが、ラプラスの業績にもう一度立ち返ると目を見張る所が多々あります。現代制御で使うPIDの考えに繋がる伝達特性を使った考え方等は当時の数学者の中でも比類なき部類に入るかと思えます。この点は特筆すべきです。



以上、間違い・ご意見は
以下アドレスまでお願いします。
最近全て返事が出来ていませんが
全て読んでいます。
適時、改定をします。

nowkouji226@gmail.com

2021/04/07_初稿投稿
2021/07/08_改定投稿

(旧)舞台別のご紹介
纏めサイトTOPへ】
舞台別のご紹介へ】
時代別(順)のご紹介】
フランス関連のご紹介へ】
熱統計関連のご紹介へ】
力学関係のご紹介へ】

【このサイトはAmazonアソシエイトに参加しています】

テキストポンへの査定申込はコチラ